あなたの体の健康は、歯と口の健康から・・・。歯・口の情報についてご案内します。

寝たきり

体の障害を引き起こす要因

口腔機能は心身の機能に対して非常に重要な役割を果たしており、口腔機能が低下すると、脳神経系機能に対しては本能機能(新陳代謝機能、食欲・消化・吸収機能、体温・電解質調節機能等)、自律神経機能(内臓調節機能)、内分泌機能(内分泌調節機能)等低下や、消化器系機能に対しては栄養の消化・吸収・排泄機能や腸管免疫細胞生産機能等の低下、呼吸器系機能に対してガス交換機能や嚥下時の呼吸停止・再開機能、そして発語機能等の低下がみられるといわれています。

また、日常的な「食べる」という行為が不適切であると、いわゆる生活習慣病(メタボリック症候群、高血圧、高脂血症など)につながり、そういった病が引き金となり、体の機能障害にまで拡大するケースもみられることになります。

もちろん、生活習慣病については、不適切な食事だけではなく、適度な運動や不眠、或いは喫煙など、様々な要因が複雑に絡み合っていますので、一概に「適切な食事」だけで防げるということではありません。

ただ、このサイトでも言及しているように「口腔機能」と「全身機能」は深いかかわりを持っていることは確かであり、この事について、皆さんには、理解を深めて欲しいと思っています。

体の障害から寝たきりに

体の障害といっても、様々ですが、体の機能の衰えにより、活動することが面倒になったり、できなくなったりすれば、筋肉はますます衰え、動かすことができていた部分でさえ、動かせなくなってしまうかもしれません。

動かすことが辛くとも、動かさなければ(リハビリしなければ)ますます、動かすことができなくなり、やがては、寝たきりの状態になってしまうかもしれません。

また、実質的な体の障害だけでなく、活動意欲の喪失など精神的なことから、ひきこもりがちな生活、筋肉のおとろえへとつながり、ねたきりになってしまうということも考えられます。

寝たきりの人の口腔機能

病院でも、施設でも、そして居宅でも構いませんが、活動をほとんどしない高齢者、または寝たきりとなってしまった高齢者にとっては、生活機能の向上を図るための方法の一つとして口腔ケアの取組が非常に重要となります。

例えば、寝たきりの方で、口を開けっ放しで呼吸をする人は、息を吸う時には、乾いた外気を吸い、口の中の外部に近いあたりは非常に乾燥しやすくなりますが、吐く際には、気道の湿度を含んだ暖かい内気を吐き出していますので、口の中では、雑菌が繁殖しやすい状態が長時間続いているといえます。

あらゆる病気の原因菌が増殖しやすい悪環境になっていることは間違いありませんし、口の中を清潔にしていないことで、誤嚥性肺炎を引き起こしたりします。

誤嚥性肺炎とは、加齢による代謝機能や生活機能が低下している状態で、口の中が不衛生な状態になり、そして口腔機能低下(飲み込む力の弱まりなど)が生じるとによって、食べ物や唾液中の細菌が誤って気管支を通って肺に入ってしまう誤嚥(ごえん)が原因でおきる老人性肺炎をいいます。

寝たきりの状態からの回復

寝たきりの状態が必ず回復するとは当然いえませんが、口腔ケアを施すことで、症状が良くなり、寝たきりで、まったく動くことができなかったにも関わらず、起き上れるようになったり、会話ができなかった人が会話ができるようになったなどの例もあります。

人が生命を維持し日常の生活を営むためには、必要な栄養素と活動するためのエネルギーを生涯にわたって、食事によって摂取することが求められます。

健全な食生活は、高齢者が健康な生活を送るうえできわめて重要な要素であり、そのような食生活の確保には口腔機能の維持・向上が不可欠であるといえます。

自分の口で噛んで食べることができる間は、まだ良いのですが、自分で食べることができなくなる、噛むことができなくなるなどによって、いわゆるPEGの状態になると、見る間に元気がなくなるものです。

たとえ、寝たきりで「自分の口で食べることができなくなった状態」であっても、口腔ケアを行うことで口腔機能維持・向上に努めることが望まれます。

当医院では、病院との連携や、訪問診療などを行いながら、このような要介護者に対しても、口腔ケアの大切さや必要性を訴え、ひとりでも多くの人の機能回復につながればと願いつつ、日ごろの活動を行っています。